SPF【エスピーエフ、Sun Protection Factor】
 
用語解説
SPFとは
SPFとは、UV-B(紫外線B波)を防ぐ効果を目安として表す指数のこと。「SPF」の文字に続けて表示された数値が高いほど防御効果が高いことを示す。
SPHはProtection Factor の略。サンケア指数とも呼ばれる。
SPFの意味
UV-B(紫外線B波)は、肌に強く作用し、赤く、ヒリヒリとしたサンバーンと呼ばれる炎症を引き起こします。SPF値はこのUV-Bをどれだけ防御できるかの目安となる数値でSPF50を最大とするもののSPF50より優位に高い場合には日本化粧品工業連合会の「SPF測定法基準」に基づいてSAPF50+と表示します。

具体的には、サンバーンの初期段階とも言える紅斑と呼ばれるかすかな赤みを起こさせる紫外線量が、日やけ止めを塗らない場合に比べ、塗ることでどれだけの紫外線量まで耐えられるかというものです。例えば、紅斑が現れるまでに20分かかる人がSPF30の日やけ止めを塗れば、30倍の紫外線量を20分浴びて紅斑が認められるということです。

しかし、同じ20分で急に30倍まで紫外線が増えるというのは現実的ではありません。そこで時間延長の考え方をするのが一般的で、紅斑が現れるまでに20分かかる人がSPF30の日やけ止めを塗れば30倍の600分(20分×30=600分)まで紅斑が現れるのを遅らせられるという目安になります。

ただし、SPFの測定時と実際の日焼け止め使用時では、天候や場所が違うことからSPF表示の説明において「つけない時に比べて日焼けまでの時間を30倍遅らせられる」のような表示は実施しないよう日本化粧品工業連合会から定められています。
SPFの測定法と表示の仕方と国による違い
〇測定法や表示の仕方
日本では、業界自主基準として「日本化粧品工業連合会SPF測定法基準(2011年改定版が最新)」 があります。SPF測定法基準では、ISO24444(2010)の規格に基づいた測定をすることが定められ、測定値からのSPFの算出方法も決められています。

自主基準で取り入れているこのISO24444(2010)は2019年12月に第2版としてISO24444 (2019) が発行されたため、現在はISO24444 (2019)に沿って測定することが求められています。SPF表示は(PA表示も)ISOが定める国際規格に準じた試験法で測定されているということです。

SPFもPAも、製品毎にこの国際規格に定められている、1平方センチメートルあたり2mg(または2μL)を塗布して測定されます。粧工連によるSPF測定では、人の背中に測定する日焼け止めを塗布し、ソーラーシュミレーターで紫外線を照射し、翌日(16~24時間後)に日焼け止めを塗布した部分と何も塗ってない部分のMEDを判断しその比を求めます。塗布部分MED÷無塗布部分MED=SPF値です。つまり、塗布部分のMEDは塗布していない部分のMEDの何倍であるかを示す値がSPFとなり、この考え方は世界で同じです。ここでのMEDの状態とは、紫外線を照射した部分の50%以上において境界線がはっきりしたかすかな紅斑が目で確認できる状態です。こうして求めた全ての被検者のSPFの平均値が測定品のSPFとなり、SPF50以上については一定の条件をクリアしている場合にSPF50+と表示します。

多くの国・地域がこの国際規格のSPF測定法を採用していますが、測定法が同じでも、測定で得られた値をどうSPF表示するかのルールは国・地域により異なります。同じ処方・防御力の日焼け止めでも表示されたSPF値が国によって異なるケースがあるということです。
in vitroの測定法
最近は被験者への負担をなくし、より客観的な判定ができるようSPF測定装置の開発が進んでいます。また、ISOでも測定のために人に紫外線をあてるリスクを考慮し、in vitro 測定法の検討が進んおり、2012年にUVAのin vitro測定法が発効されました(ISO 24443、Determination of sunscreen UVA photoprotection in vitro)。

またコスメティックヨーロッパで開発されたin vitro SPF測定法が、2018年に11月にISOに提出されました。ISOの審査の結果、採用されればその測定法が国際基準としてISO24444の代替になり得ると考えられます。

日本国内でもin vitro方式の検討や提案はされています。しかし、粧工連としては、様々なタイプの日焼け止めの測定において、in vivo による測定結果に代えられると結論づけられないことから、in vitro方式の測定基準は出していません(2015年現在)。

〇アメリカの2011年改正
アメリカでは日焼け止めに関する新しい規制が2011年にFDAから発令されました。SPF表示の仕方や耐水性表現の仕方、紫外線防御効果に関わる表現規制、Drug Facts表示の徹底などが含まれています。

これにより、SPF50以上の製品に関してはSPF50+表示にすることになり、大手メーカーは早速準拠しました(FDAの発効からしばらくは数値訴求競争が続きSPF100前後の製品も見られました)。また、Sun Block(サンブロック)といったいかにも防御力が強そうな表現が表示不可表現の1つになりました。消費者にとっては、表示に惑わされるリスクが下げられたと言えます。

コスメコンシェルジュから一言

SPFは高ければいいというものではありません。人それぞれの環境や紫外線に対する感受性、日やけ止めを使うシーンによって必要なSPFは異なるので、SPFだけでなくUV-A防御効果やウォータープルーフ効果、スキンケア性など、その他の機能も考慮しつつ最適な日やけ止めを選ぶことが大切です。

また、SPF値は1cm2あたり2mgを皮膚に塗布して測定された結果なんです。1cm2に2mgというのはけっこう厚く塗った状態です。例えば一般的な乳液の使用量は顔全体で1.5ml、クリームだと0.3g程度であることからわかるように、顔全体に2mgの塗布はかなり量が多いことがわかります。それだけの量を塗布するのは容易なことではありません。実際はもっと少なく塗っていることでしょう。さらに時間の経過とともに日焼け止めは落ちてしまうのです。
ですから表示されているSPFはあくまでも目安と捉え、できるだけたっぷり塗布し、塗布したての防御力を保つためにはこまめな塗り直しが必要です。

紫外線防止効果の測定法は、日本では粧工連がSPFについては1992年に設定(その後数回の改定)、PAについても1995年に粧工連の自主基準として試験法を設定していました。特にUVA防止効果の測定法は世界に先駆けたこのとして国際的にも評価されていました。一方、ISOにおいて2006年に紫外線防止効果の測定法を検討するためにワーキンググループが設立され、粧工連も積極的に検討に参加しました。2010年にSPF測定法(in vivo)、2011年にUVA防止効果測定法(in vivo)がISOで国際規格として制定されたことを受け、粧工連はそれを自主基準として取り入れることとなりました。SPFに対してもUVAに対してもIn vivo測定です。

その後、ISOからは2012年に in vitroのUVA防止効果測定法が発行され、in vitroのSPF測定法の検討もされています。
機能・効果の関連用語
製品評価試験 収れん
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