フリーラジカルによるダメージ 〇フリーラジカルはどうやって悪さを起こす?フリーラジカルは肌や美容の面にとどまらず、DNAを傷つけるなど生体に様々なダメージを与えることから重大な病気にもつながる物質と言われています。 肌はもちろん、そもそも人の体は細胞の集合体です。そして、その細胞は分子の集合体です。分子の中には2つで1組のペアになった電子がありますが、ペアになっていないシングルの電子を持つ分子も存在します。そのシングル電子を持つ分子がフリーラジカルで、シングル電子は非常に不安定なので安定するために他の分子から電子を奪ってペアを作ります。すると電子を1つ奪われシングル電子を持つことになった分子が今度はフリーラジカルになり、他の分子から電子を1つ奪おうとします。電子を奪われた分子は酸化された状態です。このようにフリーラジカルは反応性が高く、次々と分子を奪いながら(酸化させながら)細胞に酸化ストレスを与え、様々な肌トラブルを引き起こす原因になるのです。 〇フリーラジカルによる肌ダメージ フリーラジカルは生体内で生成されますが、紫外線や大気汚染などの外部刺激によっても生成され、喫煙も影響します。肌のバリア機能が衰えていると、紫外線などの外部刺激を受けやすいだけでなく、それらの外部刺激によってフリーラジカルが肌内部に発生しやすい状態になります。フリーラジカルにはいくつかの種類がありますが、その中でも特に悪さする物質として活性酸素が知られています。 活性酸素は酸化力が強力な酸素で本来は外部刺激から細胞を守る重要な働きをしていますが、それだけに防衛力が高い物質なので、活性酸素が過剰になると酸化ストレスを生み出し、細胞やDNAにダメージを与えます。活性酸素は細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸と結びついて酸化させ、過酸化脂質という有害な物質を作りだします。過酸化脂質は細胞内部に浸透する性質があり、肌の細胞や組織にダメージを与えるので、メラニン生成を促してシミの原因となったり、皮脂を酸化させてニキビをつくったり、コラーゲン線維やエラスチン線維にダメージを与えてしわやたるみなど肌の老化症状を引き起こします。 そこで化粧品では肌の酸化をおさえるのに抗酸化成分が配合されます。酸化抑制をすることで、メラニンを作れという情報伝達物質の発生を抑えようという美白化粧品や、皮脂の酸化を抑制することでニキビを防ごうという皮脂・ニキビ用化粧品などがあります。紫外線によってもフリーラジカルが発生するので日焼け止めにも抗酸化成分が配合されることがよくありますし、最近では紫外線だけでなく大気汚染や花粉などにも着目し、より広い範囲でフリーラジカルの活性を抑えようという製品が出ています。ただし、フリーラジカルの抑制や酸化抑制などは化粧品の効能効果を逸脱するので訴求はできません。 |