カルボマー
 
用語解説
カルボマーとは
カルボマーとは、増粘効果に優れた弱酸性の白い粉末状の成分。カルボキシビニルポリマーともいう。
カルボマーについて
カルボマーは、化粧品の粘度や流動を調整するのに役立ち、様々な化粧品によく用いられる水溶性高分子です。主に、増粘剤乳化安定剤、分散剤、ゲル化剤として使われ、水っぽいものからひとかたまりのジェルにまで幅広く粘度調整ができます。

カルボマーは、水を吸収して保持する能力があります。カルボマー水溶液は粘度のあるpH3程度の酸性です。カルボマーが分散していると水溶液のpHが低くなるため、粘度を高めるためには中和剤を添加してpHを上げます。pHが5、6程度で高粘度水溶液となり、この時、水溶液中のカルボマーは約1000倍にも膨潤している可能性があります。カルボマーの膨潤によって粘度が上昇し、pH6~10において最も高粘度になると言われます。

こういった特性を利用し、カルボマーをアルカリと反応させるため、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性成分と一緒に用いて、とろみの調整をしたり、ひとかたまりのジェルを作ります。カルボマーは、水溶性高分子の中でも特に増粘効果に優れ、少量で高粘度にすることが可能です。また、微生物汚染に強く、品質しにくいため、従来からずっと使われている成分です。

カルボマーは、高分子乳化にもよく用いられます。乳化の仕組みが界面活性剤とは異なるため、カルボマーは界面活性剤ではありませんが、界面活性剤の使用量を減らすことができます。企業や人によっては、カルボマーを界面活性剤として分類している場合もあります。

カルボマーは、カーボポール(Carbopol)と表現されることがありますが、カーボポールは、ルーブリゾール(Lubrizol)社の製品としてのカルボマーのブランド名で、1950年代半ばに最初に使われました。

カルボマーを用いたジェルは、塗布中に肌にポロポロと白いカスが垢のように出てくることがあります。またジェルの次に化粧下地などを塗布した際にもポロポロと出てくることがあります。これはカルボマーによるものです。カルボマーだけでなく、他の水溶性高分子を用いたジェルでも同様で、高分子を多く配合した製品は、その塗布の仕方や、次に塗布する製品との相性によって、高分子が肌からはがれ落ちるようにポロポロしたかたまりになって出てきます。肌に悪いものではありませんが、使い心地を損ねないためにも、それらの化粧品を使用する際は、肌全体に伸ばす程度にとどめ肌をこすらないようにすることがポイントです。

●表示名称とINCI名
表示名称】カルボマー(医薬部外品では:カルボキシルビニルポリマー)
INCI名】Carbomer
CAS登録番号】9007-20-9(Cosing検索では:9007-20-9/9003-01-4/76050-42-5/9062-04-8/9007-16-3/9007-17-4)

コスメコンシェルジュから一言

カルボマーは合成ポリマーの一種です。ヒアルロン酸ナトリウムと同じ合成ポリマーですが、カルボマーに関しては、肌にラップを貼り付けるのと同じ、毛穴につまる、などのネガティブな印象を持たれることがあります。これは、別名カルボキシビニルポリマー中のビニルやポリマーという言葉に起因するのではないかと思います。

カルボマーは、半世紀以上化粧品に使われ続けている成分で、肌に刺激がないのはもちろん、微生物汚染に強く、腐敗しにくい安全性の高い成分です。また、1%以下の少量で増粘の目的を果たせられるため、一般的に配合量は微量です。成分自体の保水力の高さに加え、増粘効果によって使用性や安定性を向上させ、化粧品をより効果的に心地よく使えるようにします。

クリームのように肌に塗布しやすいもったりとしたかたまりでありながら、肌に広げるとペシャッとみずみずしく広がるジェルは、カルボマーが用いられてこそです。カルボマーは、ミネラルオイルのように誤解されることが多い成分ですが、やはりミネラルオイル同様に安全性・安定性に優れ、長く用いられて実績豊富な成分なので、あえて避ける必要はないと思います。
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