ISO 16128【アイエスオーイチロクイチニハチ】
 
用語解説
ISO 16128とは
ISO 16128とは、ISOが2016年、2017年に定めた化粧品に配合の自然及びオーガニック成分の指数に関する基準のこと。自然及びオーガニック成分の指数化のため、それら成分の定義や化粧品中の比率の算出方法を定めている。
ISO16128について
ISO 16128は、自然・オーガニック原料の定義と自然・オーガニック指数及びその算出方法に関する化粧品用に策定された基準です。パート1とパート2の二部構成で、2016年2月にISO 16128-1「原料の定義」、2017年9月にISO 16128-2「原料及び製品の基準(指数の計算方法)」が制定されました。

ISO16128では、原料を定義し、化粧品中の「自然」「自然由来」「オーガニック」「オーガニック由来」の各成分の指数化(比率の計算方法)を規定しています。その化粧品が自然化粧品あるいはオーガニック化粧品かどうかを判断するためのものではありません。また、コミュニケーション法や訴求、人々の健康や環境、フェアトレードや名古屋議定書のような社会経済分野には触れていません。さらに、ISO16128は中身の原料に限定した基準であり、パッケージや法的事項にも触れていません。

したがって、ISO16128には指数の表示に関する規定はなく、表示の仕方は各国/地域の法律やガイドラインに委ねられています。

●ISO 16128で定義している原料
どんな原料が自然原料自然由来原料自然鉱物原料鉱物由来原料オーガニック原料オーガニック由来原料、あるいは非自然原料なのかを定義しています。また水も4タイプに分類しています。

●ISO 16128による指数化の内容(比率の計算方法)
自然指数、自然由来指数、オーガニック指数、オーガニック由来指数の4種の指数があり、それぞれ配合数を含める場合と含めない場合の2通りがあるため、合計で8種の指数があることになります。8種それぞれの重量比を算出する計算方法が規定されています。

参考1:ISO 16128パート1
Guidelines on technical definitions and criteria for natural and organic cosmetic ingredients and products — Part 1: Definitions for ingredients
公式サイトでプレビュー可能。全て見るには購入が必要
参考2:ISO 16128パート2
Cosmetics — Guidelines on technical definitions and criteria for natural and organic cosmetic ingredients — Part 2: Criteria for ingredients and products
公式サイトでプレビュー可能。全て見るには購入が必要
日本の指数表示について
ISO16128では、指数の表示法に関しては規定していないため、日本では粧工連が指数の表示に関し「ISO16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」を策定し、その中で指数表示の仕方を定めています。

指数表示は、自然指数、自然由来指数、オーガニック指数、オーガニック由来指数の4種について行います。それぞれ、ISO16128で定められた算出法により指数を出します。具体的には、指数・水含有の有無・ISO16128準拠 の3点を表示し、例えば「自然由来指数 95%(水含む)ISO 16128準拠」といったようになります。

コスメコンシェルジュからひと言

ISO 16128は、あくまでも化粧品原料を自然原料オーガニック原料非自然原料などに分類するための定義やそれらの指数を製品に表示するための計算方法に関する規格です。それ以外に特別な要求もなければ法律でもなく、指数に関しては定義した原料のうち自然原料自然由来原料オーガニック原料オーガニック由来原料の4つのカテゴリーのみ確立し、消費者が製品に各カテゴリー原料が何%含まれているかを知ることができる指数の計算方法を示しているにとどまります。

日本では、「ISO16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」により、具体的な表示の仕方が定められましたが、これはあくまでも製品にISO16128に準拠した指数を表示する場合の計算方法と表示方法を定めているものです。したがって、指数表示以外の点では薬機法化粧品等の適正広告ガイドラインなどに基づく必要性があることは変わりません。

現在、日本の化粧品市場では、自然、天然、有機、オーガニックなど様々な表現があふれていますが、統一した基準はありません。例えば、薬機法化粧品等の適正広告ガイドラインなどに抵触しない限り、有機栽培で作られさえすればオーガニック成分と呼び、そういった成分をほんのちょっと含むだけでオーガニックコスメと呼んでいる現状もあります。しかも化粧品原料における有機栽培の基準はありません。オーガニック認定機関の農林水産省の有機JAS規格は食品に対するものですが、この有機JAS規格のうち「少なくても過去2年間、禁止農薬も化学肥料も未使用の土壌に種まき、植え付け」、「栽培中も禁止農薬や化学肥料未使用」、「遺伝子組み換え原料未使用」などの有機農産物の認定基準を化粧品原料に関しても拠り所にしていることもあります。

ISO 16128に準拠した指数表示は任意表示です。そのため消費者は、的確な比較検討ができない可能性もあります。例えば、指数表示を行わない場合、植物に由来する部分が50%未満の成分でも「自然に由来する成分を配合」と表示されることが考えられます。しかし、自然由来指数表示をする場合は、自然由来部分が50%以下では「自然由来成分」として扱えません。同じように 海外から輸入したオーガニック認証を受けた植物エキスが化学合成品を溶媒としている場合でも、指数表示をしなければ「〇〇団体のオーガニック認証を受けた成分」と訴求できますが、指数表示をする場合は溶媒が化学合成品であれば「オーガニック由来成分」として扱えません。どちらの例も前者は企業判断に任されます。しかし、いくら薬事法などに反していなくてもISO 16128が出た以上、自然由来部分50%以下で自然由来成分としたり、化学合成品を溶媒に使っているのにある団体の認証を根拠にオーガニック由来成分としたりすることが実際に行われるとすれば、その企業姿勢には疑問を持ちます。

ISO 16128ができる前から、海外には自然化粧品やオーガニック化粧品に関して様々ざまな認証機関や推奨機関があります。ISO 16128は自然およびオーガニック化粧品に関して国際市場での調和を取ることはできるかもしれませんが、ISO 16128 は各認証機関とは全く別物であり、各機関の基準や認証制度と一致しない部分も多いため、COSMOSやECOCERTなどの団体の中には、ISO 16128は消費者に対し誤解や混乱を与えるなどの警告を発している様子もうかがえます。(2019年5月現在)

上に述べたように指数表示をする場合としない場合でのアンバランスさが懸念されるものの、日本においてはこれまで自然・オーガニック化粧品に関するルールがなかっただけに大きな一歩であり、各メーカーが粧工連のガイドラインを取り入れてこそISO 16128が日本で生きてくると思います。
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