細胞外マトリックス【サイボウガイマトリックス、extracellular matrix】
 
用語解説
細胞外マトリックス
細胞外マトリックスとは、細胞と細胞のすき間を満たしている物質のこと。
細胞の外側にあるため細胞外基質、細胞と細胞の間にあるため細胞間基質などとも呼ばれる。英語表記の Extracellular Matrix からECMとも呼ばれることもある。
細胞外マトリックスについて
〇細胞外マトリックスとは
身体の組織は、細胞の単なる集積ではなく、大部分が細胞外の空間で構成されています。その空間を複雑な構造で満たしている物質が細胞外マトリックスで、複数種の線維、基質基底膜があります。
細胞外マトリックスは、細胞外マトリックスに存在する細胞によって生成された成分によって組織化されます。そのほとんどが線維芽細胞によります。

〇細胞外マトリックスを構成する成分
細胞外マトリックスは、主に線維状タンパク質、プロテオグリカン、接着性の糖タンパク質で構成されています。

線維状タンパク質は、コラーゲンやエラスチン、フィブロネクチン、ラミニンなどを含むもので複数種類ありますが、膠原線維と弾力線維がよく知られています。細胞外マトリックス内で一番多く存在する成分がコラーゲンです。

プロテオグリカンは、糖タンパク質の一種です。軸となるタンパク質(コアタンパク質)にグリコサミノグリカンと呼ばれる多糖が結合したもので、このグリコサミノグリカンには、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、ヘパリンなどがあります。プロテオグリカンはコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進すると言われています。

その他、ミネラルや水も含まれています。

〇細胞外マトリックスはただの緩衝材ではない
細胞外マトリックスは、細胞と細胞の空間を埋める物質とは言っても、壊れやすい製品を保護する発泡スチロールのような緩衝材とは全く異なり、全ての組織において働きのある物質です。

細胞外マトリックスは、組織内に存在する細胞をコントロールし、細胞の増殖や成長、発達に関与します。つまり、細胞外基質は、組織の形態や機能を決定するものと言え、例えば皮膚と骨では細胞外マトリックスの組成が全く異なります。

〇細胞外マトリックスの可能性
こういった細胞外マトリックスの特性を生かし、今までは治らないと思われていた創傷や病気の治療に役立てる研究が進んでいます。縫合手術や火傷の手当てなどでの応用が期待されています。
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